起業家にとってのビジネスプラン
2018年4月27日ビジネスモデル
ビジネスプラン(事業計画)を書くことにどんな意味があると思いますか?
変化の早い市場に参戦する起業家がビジネスプランを書くのに時間を割いていては、チャンスを逃してしまう、という意見もあるかもしれません。
しかし、インターネット関連のスタートアップ企業の設立ブームが一段落した今、
十分に時間をかけて調査された市場や事業機会を捉えることが起業家にとって重要です。
ビジネスプランに何を書くか
起業する際にビジネスプラン作る必要性が認識できても、では何を決めればいいのか、ということになると思います。
箇条書きすると、
・要旨
・競合相手
・自分の商品
・マーケティング
・オペレーション計画
・開発計画
・メンバー
・リスク、不確実性
・資金計画
それでは、一つずつ説明していきましょう。
要旨
あなたがどんなビジネスをしようとしているのか、そのストーリーを書いてみください。
あなたの中で考えていたことをまとめることもできますし、だれか人に話す際にも興味を持ってもらうことができます。
このとき、できるだけ魅力的・説得的な要旨になると尚よいと思います。
「〜〜をやります」ではなく、「〜〜の市場で〜〜を販売する、私たちの〜〜という技術・アイディアにより、〜のような優位性を得ることができる」といった感じです。
競合相手
全く競合相手がいない分野で起業できれば成功しやすそうですが、実際にはそんな領域はなかなかなさそうですよね。
私たちが提供するのは、製品やサービスではなく、価値です。
商品やサービスの価値を考えるなんて当たり前と思われるかもしれませんが、 意外と難しいです。
例えば、あなたが初めて行くラーメン屋さんを考えてみてください。
そのラーメンがおいしいとわかっていて入ったのではなく、店の雰囲気や看板、あるいは口コミで評判なのを知っていて、おいしそうだから入るのだと思います。
以前入ったことあるお店や常連さんでない限り、おいしいという価値が分かっていて入ったわけではないでしょう。
お客様はサービスや商品にお金を払うのではなく、メリットにお金を払っています。
例えば、スマートフォンを選ぶ場面を考えてみてください。
「最新・高性能のバッテリーを搭載!」と書かれていても、ピンときません。
これは価値ではなく、機能です。
「二日間充電いらず!外出先でも充電を気にせず使えます!」
「もう出張先に充電器を忘れても大丈夫」
といったその商品の価値は本質的には提供しています。
競合が誰かを考える際、これまで人々がその価値やニースをどのように代用していたかということに注意する必要があります。
自分の商品
あなたの提供するものにより、顧客のどのようなニーズが達成されるのか、競合と比べてどう優れているのかを考えながら、あなたの商品の基本的な情報を整理します。
広い市場に参入できれば、その分成長の余地も多いですが、起業当初利用できる資源が限られている場合には、
ニッチな(市場の一部)を対象とすると、効果的に市場に参入できるでしょう。
マーケティング
標的となる市場を設定し、その市場においてどのように他社と差別化するか、そして一度顧客になってくれた人をどうつなぎとめるのかを考えます。
そしていくらで提供するか設定します。
起業前だと、商品の製造コストや提供コスト、人件費のコスト、諸経費など、安く見積もりがちで、後々キャッシュフローが厳しくなることもありますので気を付けてください。
そして、顧客にどのように商品を届けるのかを計画します。
特に、サービスではなくモノを売る場合、流通戦略が重要ですし、画期的な流通戦略を立てることができれば、それだけで他者と差別化できます。
最後に、マーケティング・コミュニケーション戦略です。
マーケティング・コミュニケーションというのは、言い換えれば広告・宣伝の方法です。
マス広告・ダイレクトメール(DM)、インターネット広告などがあります。
マス広告(テレビCMや新聞・雑誌広告など)は、費用は莫大ですが、認知度アップやブランド構築には最も効果的です。
もしすでに顧客リストを持っているならば、ダイレクトメールを使うと効率的でしょう。
オペレーション戦略
これも特に製造業やソフトウェア開発で起業する場合重要です。
生産サイクルや資金をいつ回収するのか計画立てる必要があります。
製造にどのくらい時間がかかり、どのように在庫を集約・発送し、どのタイミングで支払がなされるのか。
原料の購入から顧客への販売・支払をサイクルを短くすれば手元に現金を残すことができ、運転資金に苦しむことが少なくなります。
メンバー
一人で起業することも複数で始めることもあるでしょう。
一人で起業する場合はすぐには問題になりませんが、将来的にはメンバーを増やすことになるかもしれません。
メンバーには肩書きとそれに合った役割が必要です。
それを整理することで今足りない人員も把握できます。
また、余裕があれば報酬などお金のことも考えてみるとよいでしょう。
リスク・不確実性
リスクがあるというのは、どのような危険があるかわかっている状態のことで、不確実性というのは、どのような危険があるかも予測がつきにくい状態のことです。
起業には必ずリスクも不確実性もあります。
起業だけでなく、どんなビジネスにもつきものです。
ノーリスクのビジネスなどという話があれば、それはビジネスというより詐欺か何かの可能性があります。
「自分は売れると思ったのに、市場に出してみたら買い手がいない。」
このような事態に直面する危険があります。
あなた個人のニーズや感覚と、他の人がほしいと思うものは違います。
市場調査や商品テストでリスクを最小化することはできますが、最終的にどのくら需要があるかを正確に判断するのは難しいです。
複数の戦略を用意したり、うまくいかない時期を乗り越えられる十分な資金を用意しておいたりすることが必要になります。
資金計画
数字を嫌う起業家が多いかと思います。
会計士を雇えば自分でやらなくてもよいことではあるため、お金や数字のことを詳しく理解する必要はないと感じるかもしれません。
ここで財務諸表に関して詳しくは述べませんが、大雑把にでもどのように資金を得て、どのくらい費用がかかるのかを考えておくことは重要です。
ありがちなのは、費用を過少に見積もることです。
5年目の売り上げ予測を立てたとして、なぜその売り上げが達成できるのか。
無意識に楽観的な予測を立ててしまうことがあります。
できれば、自分が起業しようとしている事業を知っている人と話してみてください。
しかし、そのような人脈がないこともあるでしょう。
そんなときは、実際に調査して予測に役立ててみてください。
例えば、カフェを始めようと思ったら、よくカフェに行く人と話してみてください。
週にどのくらいカフェに行くのか、一回でいくらぐらい使うか、どのくらい滞在するかなど、予測に役立つ情報を得られるでしょう。
ビジネスプランを活用しよう
ビジネスプラン策定するのは、銀行からの融資を得やすくするためや、補助金・助成金を得るためという話もよくあります。
確かに人に自分のやろうとしている事業内容を理解してもらうために、ビジネスプランの策定は有効です。
ただ、資金調達だけが目的ではありません。
完璧な事業計画を作り上げることだけが目的ではなく、ビジネスプランを書くプロセスにおいて学ぶことにもあるのです。
実際に、最初に作ったビジネスプランと全く同じような事業をしている会社は少ないといわれています。
ビジネスプランを策定する中で、市場調査をしたり、仲間やいろいろな人と話をしたり、自分が身に着けなければならないスキルや知識、
あるいはどのような人を新たに仲間に加えたいかに気づいたりすることができますよ。