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コラム

一人でも法人化できる一人会社の設立について

2018年4月23日法人化

  起業しようと考えた時に、もちろん複数人で始めても良いですが、 一人で始めて法人化するという選択肢もあるんですよ。今回は一人会社についてお話し致します

一人会社とは

個人事業だけでなく、一人でも設立できる法人があります。 合同会社と株式会社は、設立時社員が一人でも作ることができます。 注意していただきたいのは、ここでいう「社員」とは従業員という意味ではなく、株式を引き受ける人のことです。 株式会社の場合、以前は設立してから一人に減った場合の存続が認められていましたが、平成2年の法改正により、設立時から一人でも大丈夫になりました。 一人になっても解散の必要はないという認識から、一人でも株式会社を作れるという認識に変わりました。

世の中的には少し特殊

とはいっても、法律上発起人の数の下限が撤廃されたため、一人会社の設立も可能であるという解釈であり、少し特殊な形態であるという見方もあります。 どうして一人会社が特殊かというと、会社の重要な性質の一つである「社団性」に反するからです。 「社団性」というのは、簡単にいえば人の集まりであるということです。 社団という概念自体の解釈は様々あるようですが、少なくとも一人しかいない会社をもって 社団性を有する、とはいえないという意見があります。 これに対しては、例えある時点で株式が一人の手に集中していても、いつかは複数の人の手に渡る可能性があるため、 社団性が回復される可能性がある、という解釈があります。 とはいっても、これらは法解釈や整合性の問題で、世界的な流れを踏まえてもやはり一人会社の実際上の便益が大きいということで認められています。 加えて、法律上複数の設立時社員が必要とされていたときでも、名前を借りて要件を満たしているだけで、 事実上は一人会社であるということが多かった、という事情もありました。 株式会社の設立には、設立時に発行される株式を発起人がすべて引き受ける発起設立と、一部を発起人が、残りは広く募集する募集設立とがあります。 一人で株式会社を設立する場合、発起設立の形になります。 発起設立をするときは、発行する株式分の金額を払込取扱銀行に払い込みます。 また、取締役を選任しなければなりませんが、これも発起人の中から選べますので、一人の発起人が取締役となります。 取締役が複数人いる場合はその中から一人代表取締役を決めますが、一人会社でしたら、自動的に発起人の一人が代表取締役になります。

一人会社のメリット

1.仲間を集めなくてもよい

文字通り一人で設立することができますから、仲間を集めたり、名義だけ借りたりする必要がなくなります。 いざ起業しようと思っても、一緒に始める人を集めるのが難しいこともあります。 例えば学生起業でしたら、比較的気軽に誘うこともできるかもしれませんが、会社に勤めている場合や家庭を持っている場合そう簡単に起業仲間を集められないでしょう。 会社の同僚を引き連れて独立するというケースもありますが、同意してくれる人が集まらないこともありますし、 気の合わない人とは始めたくないという心情もあるかもしれません。 ましてや家庭を持っている方が起業する場合、自分一人の問題ではありませんから慎重にならざるを得ません。 そのようなとき、一人で起業することができるというのは意思決定や手続き上でスムーズになるでしょう。 ただ、一人会社といってもあくまで株式を引き受ける人が一人ということですので、協力してもらう人や相談相手が必要になることはあるでしょう。 さらに、以前は資本金が最低でも1千万円必要でしたが、法改正により資本金1円から起業できるようになりました。 1人で・1円から起業できるようになり、かなり株式会社設立のハードルは低くなりました。 しかし、資本金がいくらかというのは信用度にも関わりますし、やはりそれだけ起業に向けて準備してきたということで、銀行から融資を受ける際に影響することもあります。 何より、法人設立を伴う起業の要件が緩和されたから、安易な気持ちで起業しても大丈夫ということではありません。 起業に失敗した場合、その影響を被るのはあなた自身ですから、きちんと起業準備をしましょう。

2.法人としての信頼

一人で起業するなら個人事業でもよいのでは?と思う方もいると思います。 私のところに相談に来られる方でよく言われるのは、 ・起業したばかりで営業に行ったときに、法人化しているか聞かれた ・まずは法人化してから契約しましょうと言われた ・顧客との話の流れで法人化してるか聞かれて思わず、「申請中です。」と言った など、得意先や協賛先で法人化しているか聞かれるケースが多いようです。 個人を相手にするビジネスではそんなに聞かれることはないですが、相手が法人の場合は、そのあたりの信用度を問われます。 というのも、特に株式会社の場合は煩雑な書類の手続きは、決算を公告したりと、面倒なことが多い分、周囲からの信頼度は大きくなるといえます。 ですので、あなたがやろうとしていることのお客さんや巻き込みたい人がどういう人なのか、ということを洗い出し、法人化を求められることがあればすべきだと思います。 また、行政からの委託事業を個人よりは受けやすいというメリットもあります。 対象を法人に限定しているところが結構多いようです。 ちなみに介護保険の事業者指定を受けられるのは法人だけです。 これは、必ず法人化したほうがいいということではありません。 最終的には「信用」や「信頼」は日々のコミュニケーションの中で育まれるもので、 活動の発信力なども信用を高めていくために強化すべきポイントだと思います。 たとえばある人が、あなたやあなたの事業のことを知って興味を持ったとき、やっぱりホームページなどを見てどんな団体で、 どのようなことをしているのか、興味を持った人ほど調べると思います。 更新がほとんどないホームページだと、本当に活動しているのかなと不安に思われるかもしれません。 逆にいろんな活動報告・事業報告があれば、「共感」してもらえるチャンスにもなります。 話が少し変わってしまいましたが、多くの人を巻き込み、事業を大きくして信用を得ていくためにも発信力をぜひ強化してみてください。

3.「代表取締役」になれる

社長になりたい!という理由で起業を目指す方もいらっしゃるのではないでしょうか。 この社長というのは株式会社の肩書きでいうと「代表取締役」です。 合同会社も一人で設立はできますが、「代表取締役」は存在せず、「代表社員」という役職になります。 起業当初は会社の規模が小さく成長途中ですが、それでも代表取締役として仕事をしたり、 「代表取締役社長」と書かれた名刺を持ったりすることで、起業したという実感を得ることができるでしょう。 もちらん、肩書き上社長になることが最終的なゴールではないでしょうが、例えばお客さんと話すときに代表取締役と名乗れることでモチベーションになるかもしれませんし、 やりがいや責任感を感じることができるかもしれません。 「自己満足」といってしまえばそれまでですが、あなたのやりたいことや夢を実現する手段の一つが起業ですからそれでよいと思います。 ただ、上に書いたように、法人化のタイミングは見極めるべきでしょう。

まとめ

一人会社についてお話し致しました。一人でも法人化でき、そのことによるメリットは様々です。しかし、法人化することによるデメリットももちろんあるので、よく考え、タイミングを見て決めてくださいね。
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