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コラム

今話題の社会起業(社会企業)に迫る。なぜ社会貢献性が重要視されるのか。

2018年4月21日アイデア

  「社会起業家、ソーシャルビジネス、ソーシャル・イノベーション」 起業を考えている方の中には、このような言葉を耳にしたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。 これらの共通しているところは、収益を上げ継続性を保ちながら社会課題の解決を目指す、という点です。 簡単にいえば、変化を起こし、困っている人・苦しんでいる人を助けるということで、そのための手段が起業ということです。 ただし、NPO法人などの法人をつくることだけが社会起業ではありません。 副業や兼業、個人事業、いろいろな形があります。 「起業」とはいえないかもしれませんが、地域のボランティア活動に参加したり、NPO法人などの活動に参加したりする方法もありますよね。 これらに共通することは、助けを必要としている人のため・社会のために行動を起こすということです。 それでも、無報酬のボランティアだけでは、その活動に従事する人が生活できないですし、せっかくの良い活動でも必要なお金がなければ継続できません。 継続性を確保するために、ビジネスの手法を取り入れ収益を確保しようというのが社会起業(社会企業)です。

どうして今、社会起業なのか

社会起業という言葉が普及し、政策的にも推進されるようになった一つの背景として、 政府が担ってきた公共サービスがうまくいかなくなってきた、ということがあります。 家族同士のつながりがあれば、介護サービスや育児サービスを外部が積極的に提供する必要はありませんでした。 税金として一か所にお金を集め、年金などの制度で支えることができました。 要は、お金を適切に再分配しさえすれば解決できることもあったわけです。 とはいっても、それは家庭に拘束される女性と外で働く男性という構造があって成立していたものですが。 それが、核家族化、女性の社会進出、少子高齢化などの変化により、単に再分配だけは解決できないことも多くなりました。 高齢者の孤独死は年金制度では解決できません。 若者の自殺は失業手当などの手厚い社会保障だけで防げることでもないでしょう。 従来の社会保障制度でさえ維持が危うくなっており、自助努力が求められている部分も多くなっています。 当然誰しも自助努力は求められますが、いざというときの人と人との助け合いも欠かせません。 「向こう三軒両隣」という言葉もあったように、地域のつながりで支えてきた面もありました。 しかし、都市化の進展などにより、地域のつながりなどの慣習的な助け合いも失われつつあります。

行政で解決できないことをやるのが社会起業

従来の制度や仕組みだけではどうしようもできなくなったことを、別の手法で解決しようとするのが社会起業(社会企業)です。 行政や収益を重視する企業では取り組めないようなことに取り組む。 地域のつながりが失われることによって問題が生じだなら、代わりの方法を探したり、あるいは地域のつながりを取り戻す工夫をする。 社会課題を前に悲観や批判をするばかりでなく、自分たちで何とかできないだろうか、と考え行動するのが社会起業の目的です。 ですから、冒頭でも書いたように、必ずしも法人を設立したり、自分の全人生を捧げて奉仕することだけが方法ではないと思います。 たとえ実際に起業をした場合でも、社会企業として存続し事業を継続するためには、いろいろな人の力が必要です。 創設者一人の力ではできません。 ビジネスのマネジメントが要求されるため、広報・財務・製品管理・法務など、様々な力が必要になります。 寄付や週末ボランティアに参加することも、その目的は社会起業をすることと変わらないでしょう。

社会起業は高いハードルか

起業するという選択は、一見高すぎるハードルのように思われます。 自分が起業しようとしている分野の深い見識や豊富な経験、現代では高度な科学技術やIT技術などなど・・・。 テーブル・フォー・ツー(Table for Two)というプロジェクトをご存じでしょうか(公式サイトURL http://jp.tablefor2.org)。 大学の学食や会社の社食で見かけたことがある方もいらっしゃるかもしれません。 これは、ランチなどを少し割高で購入し、その分をアフリカの貧困の子どもたちに寄付するという仕組みです。 日本で発足し、世界に同様の取り組みが広がっています。 このようなことなら、アイディアひとつで起業できそうではないでしょうか。 もちろん、送金の仕組みや、広報活動、導入への理解を広めるなど、実際には地道な努力や協力してもらう人が必要でしょう。 それでも、高度な技術や特異な経験がなければできない、というわけでもなさそうではないでしょうか。 アイディア一つで起業できるというよりは、想いがあれば起業に必要なことがわかってくる、ということだと思います。 ただしこれは、起業が簡単であるということとは違います。 確かに、資本金1円・メンバーも自分一人さえいれば株式会社は設立できます。 法的な手続きも簡素になりました。 ですから、形の上での「起業」は簡単かもしれません。 しかし、収益を上げ、協力者を確保し、継続していく、ということまで考えると簡単ではないでしょう。

「起業の時に気をつかったこと」

特定非営利活動法人ケアセンターやわらぎの石川治江代表理事が、「ソーシャル・アントレプレナーシップ―想いが社会を変えるー」 という本の中で、「起業のとき特に気を使ったこと」として、次の四点を挙げていました。 ○事業をするにはお金を借りることをこわがらない ○お金を返すことは事業をまわすこと ○やさしい言葉とうまい話には乗らないこと ○自分たちで創り出す、つまり“カタチ”にする (『ソーシャル・アントレプレナーシップ―想いが社会を変える―』谷本寛治・唐木宏一編より) わかりやすい言葉で簡潔にまとめられていたので、少し引用させてもらいましたが、 せっかく社会起業を考えているのであれば、「なぜ失敗するか」ではなく、 注意点や改善点を踏まえながら、「どうすれば想いを実現できるか」という視点で考えてみてください。
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