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コラム

合名会社とは?合名会社で起業するメリット・デメリット

2018年4月16日法人化

  ここでは合名会社で起業するメリット・デメリットを簡潔にみていきます。

合名会社とは

合名会社(LLC, Limited Liability Company)は、平成18年5月1日に施行された新たな会社法によって誕生した法人形態です。 合名会社が新設されて10年以上経ち、少しずつ合名会社の知名度が上がり。設立件数も増えています。 アメリカでは税制優遇措置の恩恵もあり、株式会社と肩を並べるくらい急速に増えています。 株式会社と比較すると、経営の柔軟性が高いことから、ベンチャービジネスを中心に合名会社が採用される傾向にあります。

合名会社で起業するメリット

1.利益配分の柔軟性

株式会社の場合、出資金を多く出した人がその分利益を多くもらえるという仕組みです。 合名会社の場合、出資金の多い少ないに関係なく、利益配当の比率を定款により自分たちで決めることができます。 これは、事業への貢献度として、出資金だけでなく、スキルや知識による貢献度合いを利益配当にも反映できるようにした仕組みです。 複数の会社が技術面などで協力するために合名会社をつくることもあります。 このように、株式会社と比べて定款自治による運営の自由度が高いというメリットがあります。

2.間接有限責任

合名会社は株式会社と同様に、社員(出資者)は間接有限責任を負います。 簡単にいえば、事業を遂行するの中で何らかの損害賠償責任が発生した場合、会社の財産内でのみ、その責任を追及されるということです。 もし個人事業の場合、自分の持っているお金だけでなく、土地や家などのあらゆる個人財産を使って賠償責任を負わなければなりませんが、 合名会社であれば、会社の財産内で責任を負うことになります。 ですから、自分の財産を失い生活を大きく壊してしまうという心配が少ないです。 株式会社の場合も同様ですから、起業する際法人を設立するメリットの一つといえます。 ただし、この法人の特性をむやみに利用してはいけません。 法人の有限責任への批判は根強くありますし、債権者保護が法の上でも重要視されていますので、間接有限責任を濫用しないよう気を付けましょう。

3.設立費用が安い

合名会社は株式会社と比べると、設立費用が安くすみます。 株式会社を設立する場合、法定費用は約24万円であるのに対し、合名会社は登録免許税が6万円〜、加えて定款の収入印紙など合わせて約10万円ちょっとで設立できます。 登録免許税が6万円〜というのは、本来資本金の0.7%を登録免許税として支払わなければならないのですが、 その額が6万円に達しない場合は一律6万円支払うという決まりになっています。 設立費用が安いといっても初期費用ですので、これだけで合名会社にしよう!と決めることではないでしょうが、将来的には株式会社への移行もできますので、 まずは合名会社を設立し、事業が軌道に乗り始めたら資金を広く集めるために株式会社へ移行する、ということができます。

4.株主総会と取締役が不要

株式会社では、株主総会と取締役は必ず必要であり、大会社になれば会計監査人も必要です。 一方、合同会社ではこれらの機関は絶対なければならない、ということがなく、社員(出資者)同士が意思決定をし、自ら業務に当たることができます。 株式会社の場合、会社の所有と経営が分離されており、意思決定からその遂行までに時間がかかることがありますが、 合名会社では所有と経営が分離されておらず、迅速な合意形成と業務遂行が可能です。 そういうわけで、スピード感を必要とするベンチャービジネスを行う場合に採用されることが多い法人形態なのです。 さらに、株式会社の場合、決算をしそれを公にしなければならないが、合同会社の場合は公告する必要はありません(決算はしなければいけません)。

合名会社で起業するデメリット

1.知名度・社会的信用が低い

起業を考えているあなたは、合名会社とはどのような法人のことかよく知っていましたか? 株式会社と比べると、新しくできたゆえ、日本での知名度や社会的信用度が低いというデメリットがあります。 とりわけ法人を相手に取引をする場合、合名会社がどういう会社かよくわからない、あるいは、メリットとして述べましたが、 規制が緩く経営の自由度が高い反面、周囲からの信用が低くなってしまうこともあります。 しかし、個人のお客さんを相手に起業する場合、あまり気にしなくてよいかもしれません。 例えば、あなたがいつも行っているスーパーやレストランが、株式会社によって運営されているのか合名会社によって運営されているのかあまり気にならないですよね。

2.税制優遇の不徹底

サイトによっては法人として税制面でメリットがある、と書いてある場合があると思います。 というのは、合名会社は株式会社と同様法人であるため、個人事業より経費として認められる範囲が広くなります。 その点は合名会社を含め法人を設立して起業するメリットです。 冒頭でアメリカを中心に合名会社が普及したと書きました。 アメリカで合名会社が広まった要因の一つとして、パス・スルー課税(pass thorough taxition)という税制面での優遇措置があったから、といわれています。 株式会社などの法人の場合、利益に対する法人税と所得税が二重で税金としてかかります。 このパススルー課税は構成員課税とも呼ばれ、二重の税金がかからず所得税のみがかかるのです。 さらに、チェック・ザ・ボックス制度という制度があり、構成員課税(所得税)と法人税のどちらにするかを納税者が選択できるのです。 この制度が国家レベルで統一的に確立されたことが、アメリカで合名会社が急速に普及する要因となったといわれています。 しかし、日本では合名会社は紛れもなく法人であり法人税の対象となるため、パススルー課税制度が導入されず、そこまで急速には普及しないのでは、といわれてきました。 合名会社最大のメリットの一つでもあるパススルー課税が導入されないのは、合名会社の制度として不十分であるという指摘がある一方、、 この制度がいたずらに租税回避の手段として使われる危険性や、チェック・ザ・ボックス制度を含め税制が複雑化するため、 パススルー課税は見送るべきである、等という指摘があります。

まとめ

合名会社で起業するメリット・デメリットをご紹介しましたが、いかがでしたか。一見メリットの方が多く見えたとしても、ご自身のビジネスモデルをもう一度考え直し、そのうえで判断することをおすすめします。
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